「断熱等級は、いくつにすればいいの?」
「等級6や7まで上げたほうがいいの?」
家づくりを考え始めると、こんな疑問が浮かぶかもしれません。
断熱等級は、家の熱の逃げにくさを1〜7で表したランクです。
数字が大きいほど、熱が逃げにくい家になります。
新築で見ておきたいのは、等級4〜7の4つです。
- 等級4:2025年4月から、新築に義務づけられた水準
- 等級5:国が遅くとも2030年度までに、義務の水準にすることを目指している等級
- 等級6・7:それよりも、さらに熱が逃げにくい等級
迷ったら、まず等級5を土台にして、6や7にするかを考えると整理しやすくなります。
この記事では、等級ごとに暮らしがどう変わるのか、何等級を選べばいいのかをまとめました。
数字は国土交通省・気象庁などの公開情報で確かめた、2026年11月時点のものです。
01. 断熱等級とは?熱の逃げにくさを表す7段階のランク

断熱等級は、正式には「断熱等性能等級」といいます。
国の制度で決められた、家の断熱の性能を示すランクです。
図1 断熱等級は7段階|堺市(6地域)の等級ごとのUA値

数字が大きい等級ほど、熱が逃げにくい家です。
UA値は、等級を決める「点数」
カタログを見ると、等級と一緒に「UA値(ユーエーち)」という数字が出てきます。
UA値は、家からどれだけ熱が逃げやすいかを表す数値で、等級を決める点数のようなものです。
ふつうの点数とは逆で、UA値は小さいほど、熱が逃げにくい家です。
図2 UA値は、家のどこから逃げる熱を計算するの?

こうした場所から逃げる熱を計算し、家全体の平均にしたものがUA値です。
大阪・堺市で見るのは「6地域」の数字
同じ等級でも、必要なUA値は地域で変わります。
国は省エネの基準のために、全国を気温の傾向で1〜8の地域に分けています。数字が小さいほど寒い地域で、寒い地域ほど必要なUA値は小さく(厳しく)なります。堺市は市全体が「6地域」で、大阪市など大阪府のほとんどの市町村も6地域です。たとえばUA値0.46の家は、堺市では等級6ですが、札幌市(2地域)では等級4です。カタログや資料では、6地域の欄を見ましょう。
02. 等級4・5・6・7で、何が変わる?
堺市(6地域)の場合の違いを、1つの表にまとめました。
| 等級 | 必要なUA値 | 冬の最低室温 | 暖房エネルギー |
|---|---|---|---|
| 等級4 | 0.87以下 | 8℃ | ー |
| 等級5 | 0.60以下 | 10℃※ | 約40%減※ |
| 等級6 | 0.46以下 | 13℃ | 約55%減 |
| 等級7 | 0.26以下 | 15℃ | 約75%減 |
室温は、おおむねこの温度を下回らないという目安です。暖房エネルギーは、必要な部屋を必要な時間だけ暖める使い方で、等級4と比べて減る割合の目安です。等級7の家では、家全体をずっと暖めても、等級4の家で部屋ごとに暖めるより約40%少ないエネルギーで済む例も示されています。国土交通省の編集協力による設計ガイドに載っている、東京(堺市と同じ6地域)の計算の例で、実際は家の形や暮らし方で変わります。※等級5に近い水準の値です。
家の中の温度差が小さくなる
等級6・7の家では、場所による温度の差が小さくなります。
リビングと階段や吹き抜けをつなげた、開放的な間取りも考えやすくなります。
災害で冷暖房が止まっても、室温が急に変わりにくい
断熱性の高い家は、電気やガスが止まっても、室温がすぐには大きく変わりません。
ただし、室温を保つには、夏は日差しをさえぎり、冬は日差しを取り入れるといった暮らしの工夫が必要です。
03. なぜ等級5が土台になるの?
断熱の基準は、段階的に上がっています。
- 2022年:等級5・6・7が新しくできた(それまでは等級4がいちばん上)
- 2025年4月:新しく建てる家は、等級4にあたる水準が義務に
- 2027年4月から:経済産業省が定めた、より高い水準の「GX ZEH」が適用されます。大阪府の案内では、そのUA値は0.46以下で、6地域の等級6と同じ値です
- 遅くとも2030年度まで:国は、基準を「ZEH(ゼッチ)水準」へ引き上げることを目指している
ZEH水準は、今の基準より一段高い省エネの水準で、断熱では等級5にあたります。
これから建てる家は、2030年度より先も住み続ける家です。
住宅ローン減税も、等級と関係します。2026〜2030年に入居する新築では、断熱等級5以上(一次エネルギー消費量等級6以上とあわせて)の「ZEH水準省エネ住宅」は、借入限度額が3,500万円です。等級4の「省エネ基準適合住宅」は2,000万円で、2028年以降に建築確認を受ける家は対象外になります(2026年6月時点の国土交通省の案内)。
今の義務の等級4だけでなく、この先の基準も見て考えましょう。

カタログの等級やUA値を見るときは、堺市の6地域で計算した数字か、標準の仕様か、オプションかも確かめてみてください。
04. 大阪・堺で気をつけたい、夏の暑さ
気象庁の平年値(1991〜2020年)を大阪の観測地点で見ると、1月の1日の最低気温は平均3.0℃、8月の1日の最高気温は平均33.7℃です。
冬の寒さだけでなく、夏の暑さへの備えも考えたい気候です。
断熱性の高い家は、一度入った熱も逃げにくくなります。
そのため、夏に日差しを入れすぎると、室内に熱がこもりやすくなります。
等級を上げるほど、夏の日差しをさえぎる計画が大切になります。
- 南の窓:軒や庇(ひさし)に、すだれを組み合わせる方法があります。軒や庇だけでは、初夏や初秋のやや低い日差しを防ぎきれないためです
- 東と西の窓:小さめにして、外付けの日よけを足す方法があります
図3 庇(ひさし)で日差しを調整するイメージ(南の窓)

夏の高い日差しは庇でさえぎり、冬の低い日差しは窓から取り入れます。ちょうどよい庇の長さは、家の向きや場所で変わります。
👉 夏の暑さ対策は「【猛暑対策!】エアコンが効きやすい間取りって?! 新築でも今ある家でも使える“夏の快適対策”を紹介!」でも紹介しています。
05. 等級だけでは決まらないこと

等級は比べやすい目安ですが、住み心地は等級の数字だけでは決まりません。
窓
窓は、外壁や屋根に比べて熱の出入りが大きい場所です。
ただし、等級を上げたいからと窓を必要以上に小さくすると、かえって暖房の負担が増えることもあります。
たとえば、冬の日差しを取り込みにくくなると、暖房に頼る分が増えると考えられます。

間取りや窓を打ち合わせるときに、等級やUA値も一緒に確かめてみてください。
すき間と換気
断熱の性能を上げても、すき間から熱が逃げては効果が下がります。
すき間の量はC値(シーち)という数値で表し、小さいほどすき間が少ない家です。計算では出せず、現場で測って確かめます。
すき間が少ない家では、空気の通り道を計画して入れ替える換気も一緒に考えます。
👉 すき間の少ない家の注意点は「高気密高断熱住宅は必要ない?3つのデメリットと注意点」でも紹介しています。
エアコン
エアコンの「畳数の目安」は、断熱性の低い家を想定したものです。
断熱性の高い家では、畳数の目安どおりに選ぶと、パワーが大きすぎることがあります。
窓の配置やLDKの広さは、堺市のモデルハウス(casa cube 4×4)で実際に見ていただけます(完全予約制)。
06. 何等級にする?3つのステップで決める
今の家で困っていることを書き出す
□ 寒さ・暑さ:つらい場所と時間帯はどこか
□ 暖房の使い方:必要な部屋だけか、家全体か
等級5と、等級6・7の見積もりを比べる
□ UA値:堺市で建てる場合の計算で、いくつになるか
□ 標準かオプションか:その性能に追加の費用がかかるか
□ 光熱費:同じ暮らし方で、どのくらい変わる見込みか
□ 補助金:その年度の制度の対象になるか(国・自治体の最新情報を確認)
窓・すき間・日よけまで確かめる
□ 窓:方角ごとの大きさ、サッシとガラスの種類
□ すき間:C値を測るかどうか
□ 日よけ:南の軒・庇、東西の窓の対策
ラックハウジングでは、堺市を中心に大阪府下で、暮らし方に合わせた家づくりを一緒に考えています。「断熱等級をいくつにするか迷っている」「費用とのバランスを相談したい」といったことからでも、お気軽にご相談ください。家づくりの考え方や施工事例は、無料の資料でもご覧いただけます。
07. よくある質問|等級5と6、6と7はどう違う?
等級5と等級6では、どのくらい違いますか?
堺市(6地域)で必要なUA値は、等級5が0.60以下、等級6が0.46以下です。設計ガイドの東京(6地域)の例では、冬の最低室温の目安がおおむね10℃と13℃、暖房のエネルギーは等級4と比べて約40%減と約55%減でした(等級5は、等級5に近い水準の値)。差にかかる費用は家ごとに違うので、見積もりで比べてみましょう。
等級7まで必要ですか?
堺市(6地域)で必要なUA値は、等級6が0.46以下、等級7が0.26以下です。設計ガイドの東京(6地域)の例では、冬の最低室温の目安はおおむね13℃と15℃でした。等級7にしなければいけない、というものではありません。冬の室温や暖房のエネルギーの面では高い効果が示されています。一方で、必要な断熱材や窓の仕様、費用は家ごとに変わります。見積もりで等級6と比べてみましょう。
等級とUA値、どちらを見ればいいですか?
まず等級で大まかに比べ、同じ等級どうしならUA値を見ます。同じ等級6でも、UA値は家ごとに違います。
建てる家の断熱等級は、どうやって確かめますか?
住宅会社に、「堺市(6地域)で計算したUA値と、その等級」を聞いてみてください。計算の結果を書面でもらっておくと、ほかの見積もりと比べやすくなります。標準の仕様か、オプションかもあわせて確かめましょう。
等級が高ければ、結露やカビの心配はありませんか?
等級だけでは判断できません。窓の選び方や換気、湿度の管理もあわせて考えましょう。
👉 結露の減らし方は「結露しない家はつくれる?窓・サッシ・換気で結露を減らす家づくり」で紹介しています。
今の家の断熱等級を上げるリフォームはできますか?
窓を断熱性の高いものに替える、今の窓の内側にもう1つ窓を付ける(内窓)、天井や床に断熱材を足す、といった方法で、熱を逃げにくくするリフォームがあります。どこまで上げられるかは家ごとに違うので、まずは熱の出入りが大きい窓から確かめてみてください。
08. まとめ|等級は、暮らし方と費用で選ぶ
- 断熱等級は、家の熱の逃げにくさを1〜7で表したランクです
- UA値は等級を決める点数で、小さいほど熱が逃げにくい家です
- 等級4は新築の義務の水準、等級5は国が2030年度までの義務化を目指す水準です
- 等級が上がると、冬の室温や暖房のエネルギーの面で効果が期待できます
- 大阪・堺では、夏の日差し対策も一緒に考えます
- 迷ったら等級5を土台にして、等級6・7は見積もりと光熱費の見込みで比べます
省エネ基準や補助金、住宅ローン減税などの制度は変わることがあります。最新情報は専門家・公的機関へご確認ください。
出典(2026年11月2日に確認)
- 環境共生まちづくり協会(編集協力:国土交通省住宅局)「省エネ性能に優れた断熱性の高い住宅の設計ガイド」令和7年3月 www.mlit.go.jp/report/press/content/0018…
- 国土交通省「地域区分新旧表」(告示第265号 別表第10・令和2年7月時点) www.mlit.go.jp/common/001500182.pdf…
- 国土交通省「住宅性能表示制度の省エネ上位等級の創設」 www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/conte…
- 環境省「省エネ住宅とは」 policies.env.go.jp/earth/zeh/shoene/…
- 国土交通省「今後の住宅・建築物の省エネルギー対策のあり方(第四次報告案)に向けた主な審議事項と議論の方向性」 www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/…
- 大阪府「ZEHの種類」 www.pref.osaka.lg.jp/o120020/eneseisaku/…
- 気象庁「過去の気象データ 平年値(大阪)」 www.data.jma.go.jp/stats/etrn/view/nml_s…
- 国土交通省「住宅ローン減税」 www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutak…
- 国土交通省「地域区分の見直し」 www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/conte…
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